飲食店の開業資金はいくら必要?初期費用と運転資金の目安を解説
「いつか自分の飲食店を開きたいけれど、いくら用意すればいいのかわからない」
独立を考え始めたとき、多くの方が最初に気になるのが開業資金ではないでしょうか。
飲食店の開業には、店舗を借りるための費用だけでなく、内装工事、厨房設備、備品、仕入れなど、さまざまなお金が必要になります。
さらに忘れてはいけないのが、お店をオープンした後の運転資金です。
開業資金を考える際は、
「お店をオープンするためのお金」+「オープン後に経営を続けるためのお金」
の両方を準備する必要があります。
この記事では、飲食店の開業資金について、初期費用と運転資金に分けながら、何にどれくらいのお金が必要になるのかをわかりやすく解説します。
Contents
飲食店の開業資金は「初期費用+運転資金」で考える

飲食店の開業資金は、大きく分けると次の2種類です。
初期費用
店舗取得、内装工事、厨房設備、備品など、開業までに必要になるお金。
運転資金
家賃、人件費、食材費、水道光熱費など、開業後に店舗を経営していくためのお金。
この2つを合わせて考えることが重要です。
日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」では、業種を問わない開業費用の平均は975万円、中央値は600万円となっています。なお、これは飲食店だけを対象にした数字ではありません。
飲食店は店舗を構えるケースが多く、内外装や厨房設備などが必要になるため、物件や業態によって必要資金が大きく変わります。
「飲食店なら必ず○○万円必要」と考えるのではなく、自分が作りたい店舗に何が必要なのかを一つずつ積み上げて計算することが大切です。
飲食店の初期費用には何が含まれる?

まずは、お店をオープンするまでに必要になる主な費用を見ていきましょう。
1.物件取得費
店舗を借りる際には、毎月の家賃以外にも、
- 保証金・敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 保証会社への費用
などが発生する場合があります。
特に飲食店では、店舗物件の契約時にまとまった保証金が必要になることがあります。
同じ広さでもエリアによって家賃や保証金は大きく異なるため、物件を探す際は「月々の家賃」だけでなく「契約時にいくら必要になるか」まで確認しましょう。
2.内装・外装工事費
飲食店の開業費用の中でも大きな割合を占めやすいのが、内外装工事です。
例えば、
- 床・壁・天井
- 電気工事
- 給排水工事
- ガス工事
- 空調設備
- カウンター
- 客席
- 看板
などがあります。
特にスケルトン物件の場合は、何もない状態から店舗を作るため工事費が高くなりやすくなります。
一方で、以前も飲食店として使用されていた「居抜き物件」であれば、設備や内装を一部そのまま利用できる場合があります。
3.厨房設備費
飲食店では、業態に応じた厨房設備も必要です。
例えば、
- 冷蔵庫・冷凍庫
- ガスコンロ
- シンク
- 作業台
- 食器洗浄機
- 製氷機
- オーブン
- フライヤー
- ゆで麺機
などです。
必要な設備は業態によって大きく変わります。
例えばカフェとラーメン店では必要な厨房設備が異なるため、当然、開業資金も変わります。
大切なのは、最初からすべて最高級の設備を揃えることではなく、自分のメニューを提供するために本当に必要な設備を整理することです。
4.テーブル・椅子・食器などの備品費
厨房以外にも、
食器、グラス、テーブル、椅子、レジ、POSシステム、ユニフォーム、清掃用品など、店舗運営には細かな備品が必要になります。
一つひとつはそれほど高額でなくても、まとめて購入すると大きな金額になります。
開業資金を計算するときは、こうした細かい備品も忘れずにリストアップしておきましょう。
5.仕入れ・採用・広告などの開業準備費
オープン前には、
- 最初の食材仕入れ
- スタッフ募集
- スタッフ研修
- チラシ
- ホームページ
- SNS
- オープン告知
などにも費用がかかります。
「店舗が完成すれば開業できる」わけではありません。
お客様を迎えられる状態にするところまで含めて、初期費用として考えておきましょう。
日本政策金融公庫の飲食店モデルでは700万円の資金計画例も

具体的なイメージとして、日本政策金融公庫が公開している飲食店の創業計画書の記入例では、次のような資金計画が紹介されています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 店舗保証金 | 100万円 |
| 店舗内外装費 | 300万円 |
| 厨房機器等 | 150万円 |
| 什器・備品 | 50万円 |
| 運転資金 | 100万円 |
| 合計 | 700万円 |
これはあくまで創業計画書の記入例であり、飲食店全体の平均額ではありませんが、何にお金が必要になるのかを考える際の参考になります。
実際には、立地、店舗面積、業態、スケルトンか居抜きかなどによって必要資金は大きく変わります。
初期費用だけでなく「運転資金」を残しておくことが重要
開業資金を考えるときに特に注意したいのが、初期費用にお金を使いすぎてしまうことです。
例えば、用意した資金をほぼすべて、
「内装をもっと豪華にしたい」
「厨房設備を新品で揃えたい」
と使ってしまい、オープン時点で手元資金がほとんど残っていない。
これは避けたい状態です。
飲食店はオープンした瞬間から、
- 家賃
- 人件費
- 食材費
- 水道光熱費
- 消耗品費
- 広告費
- 借入金の返済
などの支払いが発生します。
しかし、開業直後から想定どおりの売上が上がるとは限りません。
J-Net21でも、飲食業の運転資金として、人件費、家賃、原材料費、光熱費などを挙げており、開業時点では必要な運転資金の2〜3か月分を持っていると安心としています。
また、日本政策金融公庫の創業計画書のチェック項目では、半年程度の赤字補てん資金について検討しているかも確認項目になっています。
そのため、資金計画を作る際は、
最低限必要な資金
+売上が想定を下回った場合の資金
まで考えておくと、より安全な計画になります。
運転資金はいくら用意すればいい?
運転資金は「一律○○万円」と考えるより、自分のお店の月間支出から計算する方が現実的です。
例えば毎月、
家賃 20万円
人件費 50万円
食材・仕入れ 50万円
水道光熱費 15万円
広告・その他 15万円
合計150万円かかる店舗なら、
3か月分で450万円、6か月分なら900万円です。
もちろん実際には売上も入ってくるため、そのすべてを現金で持っておかなければならないわけではありません。
ただし、
「売上が予定の半分しか上がらなかったら?」
というケースも想定して資金計画を作っておくことが重要です。
自己資金はいくら必要?
「全部自分のお金で用意しなければならないの?」
と不安になる方もいるでしょう。
必ずしも、開業資金のすべてを自己資金だけで準備する必要はありません。
日本政策金融公庫の2025年度調査では、開業時の平均資金調達額は1,219万円。
その内訳は、
金融機関等からの借入:平均827万円(67.9%)
自己資金:平均279万円(22.9%)
となっています。こちらも全業種を対象とした調査ですが、創業時に借入を組み合わせているケースが多いことがわかります。
「自己資金が少なくても借りればいい」という意味ではありません。
借入金は当然返済する必要があるため、開業後の返済まで含めた資金計画を作ることが重要です。
飲食店の開業資金を抑える4つの方法

必要なところにはお金を使いながら、無駄な初期投資を抑える方法もあります。
1.居抜き物件を利用する
以前の飲食店の内装や厨房設備が残っている居抜き物件なら、一から工事を行うより費用を抑えられる可能性があります。
ただし、設備が古く故障寸前だったり、自分の業態には使いにくかったりする場合もあります。
「設備が付いているからお得」と決めつけず、状態を確認することが大切です。
2.小さな店舗から始める
店舗面積が大きくなるほど、
家賃、内装費、設備費、光熱費、人件費
なども増えやすくなります。
最初から大きな店舗を作るのではなく、少ない席数でも成立する業態にすることで初期投資を抑えられる可能性があります。
3.中古設備も検討する
厨房機器をすべて新品で揃える必要はありません。
中古機器やリースを利用できる場合もあります。
ただし、冷蔵庫など営業に不可欠な設備が故障すると店舗運営に大きな影響が出るため、価格だけでなく保証や耐用年数も確認しましょう。
4.「運転資金」を削らない
費用を抑えるときに、一番削ってはいけないのが運転資金です。
内装費を100万円抑えて手元資金を100万円増やせれば、開業後の経営に余裕が生まれます。
開業資金を考えるときは、
「いくらで店を作れるか」ではなく「いくら残して店を始められるか」
という視点も重要です。
ラーメン店など業態によって必要資金は大きく変わる

ここまで飲食店全般について解説してきましたが、必要な資金は業態によって大きく異なります。
客席の少ないテイクアウト店と、大型厨房を必要とする飲食店では必要設備が違います。
特にラーメン店の場合は、厨房設備や内外装など飲食店全般とは異なる費用も発生します。
ラーメン店の開業資金については、別の記事で詳しく解説しています。
【関連記事:ラーメン屋の開業資金はいくら?費用内訳と調達方法を解説】
開業資金を用意する方法

自己資金だけで不足する場合は、創業融資などを利用する方法があります。
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」を設けています。
設備資金と運転資金が対象で、現在の融資限度額は7,200万円です。もちろん実際の融資額は審査によって決まります。
飲食店を開業する場合は、
自己資金
+創業融資などの借入
+利用できる補助金等
を組み合わせて資金計画を作る方法があります。
ただし、補助金は「開業資金が足りないから必ずもらえるお金」ではありません。
募集時期や対象経費、審査、支給時期などが決められているため、補助金ありきで資金計画を作らないようにしましょう。
まとめ|開業資金は「店を作るお金」だけで考えない

飲食店を開業するときは、物件取得費、内装工事費、厨房設備費など、まとまった初期費用が必要になります。
しかし、本当に重要なのはオープンするところまでではなく、その後も経営を続けられる資金を残しておくことです。
開業資金を考える際には、
初期費用
+運転資金
+予想外の出費に備える資金
まで含めて計算してみましょう。
また、必要資金は店舗の広さや立地、業態、物件の状態によって大きく変わります。
最初から「1,000万円必要」と決めるのではなく、
自分のお店には何が必要なのか
↓
それぞれいくらかかるのか
↓
オープン後にいくら手元に残すのか
という順番で考えることが大切です。
十分な資金計画を立てておくことが、安心して飲食店経営をスタートするための第一歩になります。
飲食店で独立を目指している方へ

飲食店で独立する方法は、自分でゼロから店舗を立ち上げる方法だけではありません。
特に、
「飲食店の経営経験がない」
「店舗運営を学んでから独立したい」
「商品開発や仕入れ、スタッフ教育まで一人で考えるのは不安」
という方は、すでに店舗運営の仕組みやノウハウが確立されているフランチャイズを利用する方法もあります。
油そば専門店「歌志軒」では、独立を目指す方に向けて、フランチャイズコースとのれん分けコースの2つの選択肢を用意しています。
フランチャイズコース
フランチャイズコースでは、実際の店舗や研修施設で、接客・調理・店舗運営などを学ぶ研修制度を用意しています。
開業後も店舗運営、人材育成、販促、数値管理など、本部のサポートを受けながら店舗経営を行うことができます。
「自分で店舗を持ちたいものの、ゼロからすべての仕組みを作るのは不安」という方にとって、一つの選択肢になります。
のれん分けコース
一方、すぐに開業するのではなく、店舗運営を経験してから独立したい方には、のれん分けという方法もあります。
歌志軒では独立支援制度「実 MINORI」を用意しており、まず社員として店舗で働きながら経験を積み、店長などを経て独立を目指すことができます。
給与を受け取りながら実際の店舗運営を経験できるため、
「飲食業界が未経験」
「いきなり大きな資金を投じて開業するのは不安」
「経営を学んでから自分のお店を持ちたい」
という方にも検討しやすい独立方法です。
実際に独立したオーナーの声も公開しています

独立を検討するときは、本部からの説明だけでなく、実際に加盟・独立したオーナーがどのように店舗を経営しているのかを見ることも大切です。
歌志軒では、実際に店舗を運営しているオーナーのインタビューも公開しています。
独立した理由や、開業前に感じていた不安、実際に店舗を運営して感じたことなども紹介していますので、飲食店での独立を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
油そば専門店「歌志軒」で独立を検討している方へ
フランチャイズコース、のれん分けコースの詳しい条件やサポート内容については、歌志軒のフランチャイズページをご覧ください。
KAJIKEN